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入力用の鍵盤としてはとても評判の良い、KAWAI VPC1を購入。木製鍵盤でタッチにもかなりこだわった一品です。またベロシティカーブも専用のソフトウェアで調整できるという優れもの。
早速、使い心地をレビューしていきます。
KAWAI VPC1
単なる音楽制作用インターフェース機器ではなく、本物の楽器として感性を表現できるMIDIキーボード、それがVPC1です。
ピアノメーカーとしての意気込みを感じさせるキャッチコピー。
当初は国内で販売する予定はなかったのですが、その注目度の高さから日本でも販売されることになりました。初回入荷は瞬く間に完売したそうです。
現在は価格もこなれてきて入手しやすくなっています。しかし、この手のツールはいつ製造中止になってもおかしくないので、気になった時点で早めにGETです。
鍵盤
VPC1は木製鍵盤のRM3グランドⅡ鍵盤を搭載しています。積層の木製鍵盤、シーソー構造、3つのセンサー、異なる支点位置、レットオフフィール、アイボリータッチなど、RM3グランドⅡ鍵盤はそのほとんどがMIDIキーボード史上初の贅沢な仕様を採用。これらの仕様の数々が、プレイヤーの指先にグランドピアノの感触を再現します。
- 積層の木製鍵盤
- シーソー構造
- 3つのセンサー
- 異なる支点位置
- レットオフフィール
- アイボリータッチ
木製鍵盤とアイボリータッチ、3つのセンサーは上級機種に備わっていることもありますが、ここまで鍵盤にこだわったmidi入力鍵盤は珍しいと思います。まさにピアノを弾くための鍵盤といえます。
ソフトウェア
「VPCエディタソフトウェア」を使えば、タッチカーブの編集、88鍵各鍵のベロシティ調整、MIDIルーティングなどを設定することができます。
通常、ヴェロシティなどのタッチカーブはソフトウェア側でコントロールすることが普通なのですが、VPC1には専用のソフトウェアがつきます。ソフトウェア開発メーカー4種のプリセットに加え、オリジナルのカーブも作れます。設定は5種類までVPC1に記憶させることが出来ます。
デザイン
VPC1にはホイールやフェーダー、ノブはありません。あるのは最高の鍵盤と美しいパネルのみ。シンプルな外観デザインの中にも、スマートでプロフェッショナルなエッセンスを詰め込みました。
デザインはとてもシンプル。写真を見てもらうとわかるように、グランドピアノのように前面パネルに鍵盤が映り込むようになっています。演奏中の手が前面パネルに映り込むので、かなりピアノを弾いている気分を盛り上げてくれますね。
使い心地
以前まではRolandのA88を使っていました。こちらもアイボリータッチでまずまずなのですが、鍵盤の反応、特に戻るときの動き鈍いので、手首に余計な負担がかかっていました。通常の使用では全く不便は感じないのですが、ピアノでの使用が圧倒的に多くなってきたので、しっかりした構造の鍵盤を何点か物色していました。
木製鍵盤ということで、KAWAI VPC1かStudioLogicのSL88GRANDか迷いました。
今月は誕生日月でもありますので、自分へのご褒美(散財へのいいわけフレーズ)ということで、最終的にKAWAI VPC1を購入することにしました。
搬入
強烈にデカい梱包が届きました。本体が30キロ近くあるのでこの状態で35キロくらいはあると思います。何とかひとりで設置できる許容範囲の重さですが、これを玄関口までひとりで運んでくる宅配業者さんには頭が下がります。
鍵盤
輸送の衝撃で痛まないように鍵盤はテープで固定されていました。
設置完了後、レコーディングルームが木の香りに包まれました。木製鍵盤からの香りです。これだけで結構気分が上がりますね。
弾き心地はの第一印象は、ピアノらしい素直な反応。
何を当たり前のことを!
と怒られそうですが、たいがいのmidi入力鍵盤においては、どこか妥協の産物的なところがあって、midi鍵盤なりの奏法が必要となります。しかし、VPC1に限ってはそういうことを気にせず使えそうです。
もちろんホンモノのピアノとは違いますが、従来のmidi鍵盤よりもピアノらしい感覚で扱えそうです。結局、生ピアノでもアップライトとグランドではアクション構造が違うのでピアニストはタッチを使い分けています。当然ながらプロであれば、midi入力鍵盤も別物というのは知っていますから、ここで「生ピアノとは違う!」と文句言う人は、防音設備のきいた広いお部屋でグランドピアノだけを弾いてなさい。
ペダル
ずっしりと重たい3本ペダルがついています。裏面も滑りにくくなっていて、演奏中にペダルが奥に入っていく(キーボード演奏中に多いんですよ)事はなさそうです。
ペダルの動きには好みが分かれそうです。
踏み込みは若干重めでゴリゴリした感じ。グランドピアノの挙動に近く私はかなり使いやすいと感じました。ハーフペダルで頻繁にコントロールするときには、これくらいのほうが足先が疲れません。
アップライトピアノのペダルは軽いです。midi入力系鍵盤用のペダルはアップライト・ピアノのように軽い設定です。生ピアノなら弾きながらボディの響きを感じて加減をしていきます。しかしソフトウェア音源の場合、ボディの響きなどはなくスピーカーからのモニターになるので、ペダルの動きが軽いと感覚的にコントロールしにくいのです。
KAWAI VPC1のペダルは、他のメーカーのものと比較すると重めです。常にいっぱいまで踏みこむことが多い人には重くて扱いづらいかもしれません。ピアノを弾き慣れている人には扱いやすいです。ハーフペダルの状態を微妙のコントロールできるのですが、あまり弾き慣れていない人には扱いづらいように思います。
KAWAI VPC1を求める人は前者である事が多いのですが、本格的なタッチで練習したいピアノ初心者の方は、このペダルの重さに違和感を感じるかもしれません。
VPC Editor 設定
専用のソフトウェア、「VPCエディター」で、ヴェロシティカーブをコントロールできます。初期設定でピアノソフトウェア開発メーカー4社のプリセットが入っています。
Ivory、Pianoteq、Grlaxy Instruments、Alicia’s Keysのプリセットとハード、ノーマル、ソフトの7つのタッチがプリセットにあって自分の好みのカーブの作れます。カーブを選んで番号を選択するとその番号に記憶されます。最大5つまでメモリーして本体に転送することが出来ます。
VPC1 Editorから最後に転送したものを本体は記憶しています。次回に本体を起動した時には最後に転送したプリセットが記憶されています。どのプリセットが記憶されているかは、本体のパワースイッチの色で確認できます。
本体のパワースイッチが赤く点灯
本体のパワースイッチが橙に点灯
本体のパワースイッチが緑に点灯
本体のパワースイッチが橙に点滅
本体のパワースイッチが緑に点滅
各メーカーのプリセットカーブもチェックしてみましょう。
Ivory
Ivoryのカーブはノーマルより少しだけ重めに設定してあります。どちらかというとピアノのコントロールになれた人の設定ですね。
Galaxy Instruments
Galaxy InstrumentsはNative Instrumentsのピアノ音源を開発しているメーカーなので、これらのピアノも対象となります。ppの反応が早く、音は明るめ音になる設定です。Alicia’s Keysのカーブもよく似た傾向です。
簡潔にピアノをレビューしています。各ピアノに応じてデモ演奏を行っています。
Pianoteq
Pianoteqのプリセットでも試してみました。若干重めのタッチです。Pianoteqは反応が早めなので、この方がピアニシモをコントロールしやすいです。
ソフトウェア内にヴェロシティカーブのプリセットを3種類入れていましたが、使用することがなくなりました。Pianoteqのプリセット音色には、そのピアノの傾向にあわせてヴェロシティカーブも込みで作り込んであるパッチもあるので、VPCエディターのプリセットと併用することで微妙な音色の変化も楽しめそうです。
これらを元にさらに自分の好みのカーブを設定して保存することが可能です。
感想
総合的にとても使いやすい鍵盤です。これで長時間演奏しても手首を痛めることがなくなりそうです。
レコーディングで生ピアノの代わりにソフトウェア・ピアノの使用が多い方にはかなりお薦めです。また練習用の鍵盤としても反応が素早いので、演奏をそこそこまで追い込むことが出来そうです。
入力用鍵盤は、基本的に「生ピとは違う物」ということを割り切って使う必要はあります。そこを踏まえておけば、CP(コストパフォーマンス)にも優れた、KAWAI VPC1は選択肢の最筆頭に上がることと思います。
KAWAI VPC1 個人評価
- 鍵盤 ★★★★★
- ペダル ★★★★☆
- ソフトウェア ★★★★☆
- デザイン ★★★★★
- CP ★★★★☆
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付録ー調声に最適なヘッドフォン!
付録として、エムフリお気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!
今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。
僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。
その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。
ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。
♡購入までの経緯
最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。
当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするので、ちょっとしたMix用にも使えそうなの感じでした。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。
気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。
Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。
♡調声に最適
結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!
丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。
同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。
低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。
最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。
とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!
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