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SynthesizerVの歌声、31人を同じ曲でイッキに比較した動画をYouTubeで公開しました。動画では一切、解説を入れずにひたすら歌声だけの比較をしています。ここでは動画では説明していない部分を解説していきたいと思います。
調声のちょっとしたTips
選曲は「雪の華」です。基本的な調声はNatalieでしました。
歌声比較はこの曲の出だし部分。この部分の音域だとどの歌声でも対応できるからです。サビの部分は高くなって、男性ボイスがファルセット(裏声)になってしいます。パラメータ調整しているのは、テンション、ブレス、ジェンダー、トーンシフトです。
トーンシフトの使い方
トーンシフトはいろんなシチュエーションで使えるのですが、特に便利なのが聞こえにくい音の処理です。
今回、使用した歌声の中で「京町セイカ」はベーシックの音域が高めで低い音は苦手です。なので、前半部分の低い音は完全に埋もれて聞こえなくなります。そこでトーンシフトで音を明るくすることで、低い音で聞こえにくくなっているところをクッキリさせることが出来ます。
元のトーンシフト
調整後のトーンシフト
低い部分に合わせてトーンシフトを明るくしています。「京町セイカ」は他の歌声から切り替えたときに低い音で唸るようになってしまうので、この方法で改善することが出来ます。調整した「京町セイカ」の歌声はYouTubeの動画で確認してみてください。
そして逆に高い音でキンキンするようなときは、音を暗くしてなじませることも出来ます。
トーンシフトは感情表現でも使えるのですが、基本的には音色をコントロールするイコライザー的な使い方をします。
ジェンダーの使い方
ジェンダーはほとんどの人が好みの声質にするとき使っていると思います。しかし最も有効的な使い方は感情表現の部分です。
テンションで声の張りを調声して、トーンシフトで声の明るさを調整します。そしてラウドネスで音圧を調整します。これだけでかなり感情豊かになるのですが、ここにジェンダーを加えることでかなりリアルになります。
これは実際の歌い手さんの声を聴けばわかるのですが、強調したい部分では必ず声が太くなります。「怒り」や最も伝えたい「メッセージ」の部分は声が太くなるのです。
またちょっと弱々しいような、「迷い」や相手に問いかけるような部分は、声が細くなります。
ただ注意したいのは、ジェンダーはパラメータの中でも振り幅が大きいので、ちょっとさわっただけで変化します。なので調声する際には、少しずつ様子を見ながら設定していくことになります。
特殊なパラメータ設定の歌声
ほぼすべての歌声は同じパラメータ設定で、同系統のボーカルスタイルにすれば切り替えても問題ないのですが、中にはパラメータの動きが全く違うものがあります。
それはハードロック向けの歌声、NineZeroです。この歌声はラウドネスの変化が緩やかなのに対して、テンションの変化がに激しいです。なので、他の歌声の設定と同じではなく控えめな設定にする必要があります。
元のテンション
調整したテンション(かなり振り幅が違います)
今回は「NineZaro」と「京町セイカ」のみ違う設定にしましたが、本来はそれぞれのパラメータ設定を曲の中の歌詞の感情の動きに合わせて調整したほうが良い結果になります。「NineZaro」程ではありませんが、パラメータの振り幅が各歌声、微妙に違います。
音素記号を使った歌詞
「雪の華」は最初に書いたように「Natarie」で調声しましたので、Natalieのバージョンが一番しっくりきます。特に後半部分の「泣けちゃうくらい〜♪」の部分は、
「.cl n cl a{なけ)」ちゃうくらい〜♪
という「なけ」部分に音素記号を入力しています。こうすることで。喉を絞った、ちょっと言葉に詰まったような感じを出すこと出来ます。切ない系のバラードなどでイイ感じなるのですが、ちょっと文字ではわかりづらいですね。
ただ、全部の歌声がそうなるわけでもなく、再現できるもの出来ないものがあるようです。英語の女性データベースは効果が出やすいようです。動画の歌声でのこの音素での「言葉に詰まった感じ」再現度を並べてみました。
0:12 花隈千冬 ×
0:46 桜乃そら △
1:17 重音テト ×
1:50 小春六花 ×
2:23 夏色花梨 〇
2:56 ついなちゃん 〇
3:30 弦巻マキ △
4:11 夢の結唱POPY △
4:46 夢の結唱ROSE △
5:19 An Xiao ×
5:52 Ayame △
6:25 Cong Zheng 〇
6:59 Feng Yi 〇
7:33 Hayden ×
8:06 Jin 〇
8:39 Lin Lai 〇
9:11 Mai △
9:44 Natalie ◎
10:18 Qing Su 〇
10:51 Ryo 〇
11:24 Saki 〇
11:57 Sheena ◎
12:30 Yuma ×
13:03 Yun Quan ◎
13:45 Asterian 〇
14:18 Solos ◎
14:51 Solaria ◎
15:24 Gumi ◎
15:58 Eri ×
16:32 京町セイカ △
17:05 NineZero ×
このあたりの音の変化も是非、動画でチェックしてみてください!
また、ここで◎が付いている歌声は、音素を使わず超簡単にこの効果を出す方法があるのですが、それはまた別の機会に紹介したいと思います。
動画とブログの連携
今回の曲、「雪の華」も近々完成させて、動画をUPしたいと思います。制作した動画は常にこのブログと連携させて解説していきます。
僕自身もまだまだ理解できていないところも多いですが、いろいろ試行錯誤しながら気がついたことがあれば共有していきたいと思います。
ボカロ曲を楽しむ人は結構な数になってきましたが、リアルな合成音声での作品製作を楽しんでいる人は今のところ本当に少ないですが、これからどんどん増えていって、たくさんの素晴らしい作品が生まれることを願っています。
このブログがそういった流れの、ほんの一部のお手伝いが出来ればと思っています。
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付録ー調声に最適なヘッドフォン!
付録として、エムフリお気に入りのお薦めグッズをここに掲載します!
今回は調整作業に使っている、ヘッドフォンです。
僕は基本的にヘッドフォンで音楽を聴くのは好きではなくて、アナログ録音時のモニターか雑音などの最終チェックにしか使いません。
その理由は再生音がヘッドフォンによる特性にかなり左右されるからです。なので制作時にはその目的に応じた音のヘッドフォンを選択することになります。録音時のモニターや雑音を検知するのに適したものを選びます。
ただ、ヘッドフォンはそれほど好きではないのです。空間を介さない直接耳に伝える音なので、どちらかというと好んで使うというよりも、作業工程で仕方なく使うことが多いです。
♡購入までの経緯
最近、SynthesizerVで調声をするようになって、MacBookPROを使用して外出先などでも作業するようになりました。そうするとヘッドフォンは必須となってきます。長時間装着して疲れなければ、まぁイイかくらいで適当に選んでいました。
当初はデザイン性からTeenage Engineering のヘッドフォンを使用していました。オシャレな感じと携帯に便利なので使っていました。ハイがカットされて中低位域がモッコリするので、ちょっとしたMix用にも使えそうなの感じでした。しかし、カバンに入れて持ち歩いていると可動部分が折れてしまいました。
気に入っていたので(デザインが〜笑)再注文して、ついでにいろいろ検索していると「アシダボックス」なるものを見つけました。ものすごく評判が良くて一時期は入手困難な状態が続いていました。日本のメーカーでデザインがなんともレトロ。
Teenage Engineeringのヘッドフォンよりも安かったのでポチってみました。
♡調声に最適
結論からいいますと、めっちゃイイです。特にSynthesizerVの調声作業にバッチリです!
丁度、人の声の部分が聞きやすくて微細な変化もこのヘッドフォンだと聞き逃すことがないです。SynthesizerVで調声をされている方には、是非是非お薦めのヘッドフォンです。コスパも良いです。
同じデザインで、ST-90-05とST-90-07というのがあります。僕が購入したのはST-90-07のほうです。評判になっていたのはST-90-05のほうなのですが、さらにパーツのグレードを上げて音をよくしたのががST-90-07です。
低域はあんまり出ませんので、そういった需要の音楽には不向きです。声が聴き取りやすいので、調声とは抜群に相性がイイです。先にもいったようにヘッドフォンは、その目的に応じて使うのが理想的で万能性を求めるものではありません。
最初にいったようにヘッドフォンを使うのはあまり好きではないのですが、これはかなりお薦めです。これを使い出してから、SynthesizerVの調声で細部の音の動きに迷うことが減って作業効率が上がりました。
とにかく声の微細な変化がとてもわかりやすいので、是非使ってみてください!
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